今回は、調整池の排水構造物モデルのどんな風に作成したのか、説明しようと思います。
※外形モデルとしての作成であり、細部は表現しておりませんのでご了承ください。
1.素材を作る
まずはCAD図面から作成したい箇所の平面図・断面図の編集を行います。
以外とここが一番大事!縮尺を合わせて、図面の寸法や線のずれ等がないか確認します。
2Dの図面だけで立体が作れるようにパーツを揃えます。
2.線で立体を作る
作成したパーツを立体になるように組み合わせていきます。
最初は2枚目の線の構造ができるだけで感動(笑)
3.3Dモデルをつくる
今回は面図形を作成して、その面を押出して立体を作っていきます。
該当の集水桝(一枚目)は外形900×900×750㎜の角桝なので、図面の角と角を選択して、四角の面図形を作成します。(面図形は図面の角を拾ったり、数値を入力して作成することも可能です。)
作った面図形を下部へ750㎜延長させ、立体にします。(2枚目)これが押出作業です。
ほとんどの図形は、上記の作成方法で作ることができます。
次は集水桝の中身をくり抜いていきます。
内径の寸法の立体を作って、重複部を切抜して作成します。
これで集水桝の3Dモデルができあがりました。
油水分離桝も同様の方法で作ってみると...もっとリアルに見せるなら、昇降用のステップや中の桝の形状を作りこむ感じでしょうか
4.3Dモデルを合成する
作成したモデルパーツを複写したり組み合わせていきます。
分かりやすいように色分けしてみました。
青:縦排水、緑:集水桝・接続側溝、黄色:分岐桝、ピンク:油水分離桝、グレー:シールCo、紫:ふとんかご
CIMモデルを作成することで、2次元ではイメージしづらかった完成イメージを明確にもつことができました。
作成しててちょっと面倒だったのは、最初のCAD図の修正と、2次製品の3Dモデルに開口部を設けることが地味に時間がかかりました。
まぁ初めてにしては頑張ったのでは...(汗)
以上 CIM作成記録でした~
CIMとは、CIMモデル(3Dモデル)を活用した、業務効率化を目的とした取り組みのことです。
3Dモデルを用いると、施工に対して共通のイメージが持てたり、図面上の問題等を見える化できます。
合意形成の効率化や安全教育、施工管理等に用いられ生産性の向上に役立てられています。
今回は、始めの一歩として3Dモデルの製作を行ってみようと...
実際に作成したモデルで、現場説明や関連機関協議に活用してみたいと思っています。
実は既にCIM製作をしてました。
画像は実際に説明資料などに活用できました。
作成したモデルと現況の点群データを重ね合わせたものがこちら。
既設構造物と設計上の構造物の干渉を見える化したもの。
画像は調整池の排水構造物モデルです。
実際に出来上がった構造物と見比べると・・・良い感じ
施工前に完成イメージが分かると実際の作業もしやすくなります。
実は今回、点群の編集にもトライしてみました!
以前3Dレーザースキャナーを用いた土量測定についてお話しましたが、少し深堀りです。
複数回スキャンして得た点群データは、パソコンに取り込むと左の画像下の1枚目画像のように、位置合わせが行われていない状態で表示されます。
そこで、各スキャンデータの位置合わせを行うと、右の画像下の2枚目画像のようにデータが合成された状態になるんです。
続いて、この点群データを使いやすいように編集していきます。
未編集(左の画像)(下の1枚目画像)だと、樹木や重機、車両など、土量などの算出には無駄なデータが含まれているので、該当箇所を選択して削除していきます。
他にも、点群の密度変更などを行い、データを軽くしていくと...
右の画像下の3枚目画像のように、使える地表面だけが残ったデータが作成できました。
今回は土量測定に使用しました。(測量会社様にご協力していただきました、ありがとうございます。)
土量を測定したい地点にレーザースキャナー(周囲の地形データや物体データを高速で取得する装置)を設置します。
機械のパネルを操作し、測定開始! 機械がぐるぐると回転して周囲をスキャニングしていきます。
現場でやる作業はこれでおしまいです。
取得されたデータはひとつひとつの点の3次元データの集合体(左の写真)(下の1枚目写真)として生成されます。
点群データと呼び、位置情報と色情報を持っています。
その点群データを用いて、パソコン上で編集を加えると・・・
(右の写真)(下の2枚目写真)対象とする地形の土量が計算できるんです。
この後、実際に施工した土砂の移動量を比較して体積の変化を計算します。
これにより土砂の移動量を正確に把握することができるんです。
作業の安全性、測量の時間短縮、効率化につながります。
今工事では、運搬計画や数量管理がしやすくなるので嬉しいですね!